学校に行きたくても行けない。そんな不登校の子どもたちの中には、昼夜逆転した生活を送っている子が少なくありません。
夜に起きてゲームやスマホに夢中になり、昼間はずっと寝ている。そんな子どもの姿を見て、親御さんはどう思うでしょうか。
「放っておけば自然に治るだろう」
「学校に行かないのだから、せめて生活リズムだけでも正してほしい」
「子どもに何か言っても聞かないし、どうすればいいのかわからない」
不登校で昼夜逆転した子どもを持つ親は、さまざまな悩みや迷いを抱えていることでしょう。しかし、この問題を放っておくと、子どもの心身に深刻な影響が及ぶ可能性があります。また、親としてできる対策やサポートがあることも知っておく必要があります。
この記事では、不登校で昼夜逆転した子どもの状況とリスク、親ができる対策とサポートについて解説します。この記事は、親が子どもの気持ちを理解し、一緒に生活リズムを改善して再登校へ導くためのヒントとして活用していただければと思います。
不登校で昼夜逆転する原因とメカニズム
不登校で昼夜逆転する子どもは、大きく分けて以下の2つのタイプに分類できます。
学校に行きたくても行けないタイプ
- 学校に行くことに強いストレスや不安を感じている
- 学校に行かないことで罪悪感や孤独感を抱えている
- 昼夜逆転することでストレスから逃れようとしている
学校に行きたくないタイプ
- 学校に興味や関心がなく、やりたいことが他にある
- 学校に行かなくても自分の世界で満足している
- 昼夜逆転することで自分の時間や空間を確保しようとしている
一つ言えることはどちらのタイプも、昼夜逆転する背景には心理的な要因があるということです。不登校の子どもは学校や社会から切り離された状態になると、自分の居場所や存在意義を見失ってしまいます。
また、不登校になると友人との関係性も希薄になっています。
不登校の子供は何故昼夜逆転するのでしょう?
それは昼夜逆転することで、現実から目を背けたり、自分の世界に閉じこもり安心するためです。
日中、社会が活動しているときに起きていると後ろめたさや罪悪感を感じる子供は皆が寝静まっている夜中に活動することで安心感を得ることができます。
昼夜逆転する生理的なメカニズムや影響については、科学的な根拠があります。
人は、通常体内時計によって、昼間は活動的に、夜間は眠くなるように調整されています。
体内時計は、例えば太陽の光など外の光や温度などに影響を受けています。しかし、不登校で昼夜逆転した子どもは、逆転の生活をしているため、体内時計が乱れてしまいます。このせいで、睡眠の質や量が低下し、ホルモンの分泌や代謝も異常になります。その結果、心身に様々な不調や障害が起こります。
昼夜逆転を放っておくことの3つのリスク

子どもの昼夜逆転は、親にとって放っておけない問題です。昼夜逆転は、子どもの健康や成長に様々な悪影響を及ぼします。ここでは、昼夜逆転を放っておくことの3つのリスクについて説明します。
睡眠不足や睡眠障害
昼夜逆転すると睡眠の質を落とします。睡眠は成長や免疫力、記憶力などに重要な役割を果たします。睡眠不足や睡眠障害は、身体的にも精神的にも健康を損ないます。
睡眠不足や睡眠障害は、イライラや不安、うつなどの心理的な症状を引き起こします。また、集中力や判断力、学習能力などの認知機能も低下します。
肥満や生活習慣病
昼夜逆転すると、食事のリズムや内容も乱れがちになります。夜間に高カロリーな食事を摂ると、消化や吸収が悪くなり、脂肪として蓄積されます。また、運動不足も肥満の原因となります。
肥満は、糖尿病や高血圧などの生活習慣病のリスクを高めます。生活習慣病は、心筋梗塞や脳卒中などの重大な合併症を引き起こす可能性があります。
成長障害や性成熟の遅れ
昼夜逆転すると、成長ホルモンや性ホルモンなどの分泌が乱れます。成長ホルモンは主に深い眠りの間に分泌されるため、睡眠不足は成長を妨げます。性ホルモンは昼間に分泌されるため、昼夜逆転は性成熟を遅らせます。
成長障害や性成熟の遅れは、身体的にも精神的にも自信を失わせます。また、同年代の子どもとのコミュニケーションや関係性にも影響を与えます。
以上のように、不登校で昼夜逆転した子どもを放っておくと、心身に深刻な影響が及ぶ可能性があります。また、昼夜逆転は不登校の解決や再登校の妨げになる要因にもなります。
不登校の子どもは、学校に行くことに対して強い抵抗感や恐怖感を持っています。昼夜逆転することで、学校に行くことから遠ざかることができ安心できるんです。
これは一種の現実逃避であり、本質的な解決にはなりませんし。昼夜逆転が長引くことで、学校に行くことがさらに困難になります。
昼夜逆転で不登校になるとどうなる?
昼夜逆転を放っておくと不登校から中々抜け出せなくなります。
学校に行く意欲をどんどん失う
昼夜逆転に慣れすぎると朝起きることや学校に行くことが辛くなります。睡眠不足や体調不良を言い訳にして、学校を休んだり遅刻したりすることになります。
学習の遅れとコミュニケーションの低下
昼夜逆転になり生活が不規則になると学習効率が低下します。授業や課題についていけなくなります。また、昼夜逆転すると、生活が真逆になるので友人とのコミュニケーションも減ります。学校で孤立したり仲間外れになったりします。これらは、再登校する際に大きなハードルとなります。
学校への不安や恐怖が増す
昼夜逆転することで、自己肯定感や適応力を低下させます。不登校を放っておくと学校に行くことに対して強い不安や恐怖を抱きます。また、昼夜逆転で、夜中一人で起きてると孤独感が増しますしで自分のダメさを責め劣っていると感じさせます。大きなストレスになります。
以上のように、昼夜逆転は不登校の解決や再登校の妨げになる理由があります。また、昼夜逆転は親子関係や家庭環境にも影響を与えます。
昼夜逆転が親子関係に及ぼす影響
昼夜逆転が親子関係に及ぼす影響としては、以下のようなものが考えられます。
コミュニケーション不足
昼夜逆転すると、必然的に親子で顔を合わせる時間が減ります。会話や食事を共にする機会が少なくなると、互いの気持ちや悩みを理解し合えなくなります。また、親子間の信頼関係や絆も弱まる可能性があります。
衝突や対立
昼夜逆転することで親も子もどちらもストレスが溜まりお互い口出しするようになることもあります。おもわぬ対立や衝突につながり親子関係が悪化してしまうケースが多々ありますので注意が必要です。
以上のように、昼夜逆転は親子関係や家庭環境にも影響を与えます。親としてできる対策やサポートがあることを知っておく必要があります。
昼夜逆転の子どもを持つ親ができる対策やサポート
では親は子どもの昼夜逆転の改善に向けて、どのようなサポートをすればいいでしょう?
親がまずやるべきことは以下の3つです。
STEP1.子どもの気持ちを理解する
子どもの昼夜逆転を非難したり責めたりせず、子どもの苦しみや悩みを理解しようと努めます。子どもの視点で物事を考えたり、子どもの話を聞いたりします。
昼夜逆転を無理やり直そうとする行為は逆効果です。まずは子どもの昼夜逆転を改善するための第一歩として、子どもの気持ちを理解することが大切です。
子どもの気持ちを理解することで、親と子どもの信頼関係が強まります。また、子どもに対する親の感情や態度も穏やかになります。
STEP2.子どもの生活リズムを整える
子どもの昼夜逆転を改善するためには、子どもの生活リズムを整えることが必要です。親は子どもの生活リズムを整えるために、以下の3つのことができます。
子どもに自分で睡眠時間や起床時間を決めさせる
子どもに一定の睡眠時間や起床時間を強制するのではなく、自分で決められるようにサポートすることが大事です。睡眠時間は8時間以上、起床時間は午前中にすることが望ましいですが、無理やり早寝早起きに変えさせると逆効果になることもあります。
子どもに自分の体調や気分を感じ取らせたり、目標や計画を立てさせたりすることで、自律的な生活習慣を身につけてもらうことを目指しましょう。
子どもと一緒に食事や運動を楽しむ
子どもと一緒に規則正しい食事や運動を楽しみます。食事は朝・昼・夜の3回に分けて、バランスよく栄養を摂らせます。
夜間に高カロリーな食事や間食を避けます。運動は最初は軽い散歩など数十分からでいいので習慣づけを目標にしましょう。
運動は体温や代謝を上げて、睡眠の質を高める効果があるのを知っていますか? 子どもと一緒に健康的な生活習慣を身につけましょう。
生活での光や温度などの環境要因を調整する
子どもが寝る前には、ゲームやスマホなどの刺激的な活動や光源を避けましょう。
朝になるとカーテンを開け太陽の光を部屋の中に取り入れましょう。太陽の光を浴びることで体内リズムが整います。散歩などにより体内の一緒に日中に外出したり、親子で生活リズムを整えましょう。
STEP3. 子どもとコミュニケーションを取る
子どもの昼夜逆転を改善するためには、子どもとコミュニケーションを取ることが重要です。子どもは不登校であることに引け目を感じています。
親から責められることによりますます居心地が悪くなり親とのコミュニケーションも避けるようになります。そのためまず一番大事なことはどんな話をしても「責めない、否定しない!」ことです。
普段の、何気ない日常の話やニュースで起こったことを話しかけたり、子どもの好きなことに対して興味を示すことです。
例えば子供がゲームが好きであれば親御さんも興味を持ってみたり映画が好きならお勧めの映画を教えてもらったりといったように興味を示し肯定してあげることでお子さんもコミュニケーションしやすくなります。
コミュニケーションがしやすくなると子どもは親を避けることがなくなり日中も顔を出しやすくなります。
以上のように、子どもとコミュニケーションを取ることは、昼夜逆転の改善だけでなく、親子関係の改善にもつながります。
STEP4.子どもの目標を見つける
不登校で昼夜逆転をした子供を起こすことは、容易ではありません。そこで、目標を持つことが大事だということを考えてみましょう。
目標を持つことには、以下のようなメリットがあります。
目的意識が生まれる
目標を持つことで、自分に何をしたいのかという目的意識が生まれます。そのため、目的意識を持つことで、やる気が出てくることがあります。
自信がつく
目標を達成することで、自信がつきます。不登校の子供は、自分に自信がなく、学校に行くことに対して恐怖を感じている場合があります。しかし、目標を達成することで、自分に自信を持つことができます。
意欲がわく
目標を達成することで、次の目標に向けて意欲がわきます。学校に行くことを目標にしている場合、目標を達成した後は、学校に一歩踏み出す勇気を与えてくれることもあります。
昼夜逆転という現象は自分が不登校である社会から切り離されているという後ろめたさや罪悪感から社会の活動していない夜中に活動することで安心感を得るための行動であることが多いです。
目標を持つことで自分に自信を持つことができますし、目標を達成するために頑張ることは日中に起きていることの罪悪感を和らげてくれる効果があります。
目標は子供の好きなことや勉強したいこと、例えば「音楽」や「プログラミング」や「語学」などどんなことでもいいですしどんな小さなことでもいいので子供の好きな事や興味のあることから選んでみるといいでしょう。
不登校で昼夜逆転した子どもを起こす方法とアイテム

では実際に昼夜逆転をした子供を朝起こすにはどのようにすればいいでしょうか?
まずここまで話した通り、怒ったり責めたりしないことを前提に子どもの過ごしやすい環境をつくってください。
その後にいくつかの方法を試してみることで、子供が朝に起きる手助けになるでしょう。以下に、その方法をまとめてみました。
柔らかい声で声をかける
朝、子供を起こす時には、柔らかい声で声をかけるように心がけましょう。急に大きな声を出されると、子供がイライラしたり、不安になる場合があります。
睡眠環境を整える
快適な睡眠環境を整えることで、朝の目覚めが良くなるかもしれません。枕やマットレスなど、子供が快適に寝られるアイテムを使いましょう。
決まった時間に朝食を用意する
朝食を用意することで、子供が起きる動機になるかもしれません。子供が好きな朝食を作って、食べる楽しみを与えてみましょう。
カーテンを開けるまたは光の入るカーテンに変える
光は、体内時計をリセットするために役立ちます。朝、子供を起こす時には、カーテンを開けて、日光を取り入れるようにしましょう。遮光カーテンの場合は光の入るカーテンにしてみるのも一つの手です。
テレビの目覚まし機能を使う
テレビの視聴予約機能を使うことで予約していた時間にテレビがつくのでテレビは目覚まし代わりにもなります。
音だけでなく光や情報も入ってくるので起きやすくなりますし、毎朝同じ番組を見る習慣を身につけることもできますし社会で今何が起こっているかを知ることができるのでおススメです。
Amazon Echoを使う
部屋にテレビがなく「目覚ましのためにだけ買うのもなぁ…」という人はAmazon echoを買うのがいいかもしれません。
Amazon Echoは、AIアシスタント「Alexa」と連携して、音楽や天気予報の再生、スマートホームの制御、電話の発信など多くの機能を持ちます。
また、目覚まし時計としても利用できるため、従来の目覚まし時計と比べて、以下のようなメリットがあります。
アラーム音の種類が豊富
Amazon Echoは、様々なアラーム音を設定できます。音楽やラジオ、自然音など、自分の好きな音楽を選ぶことができます。
セットが簡単
目覚まし時計のセットも非常に簡単です。アラームを設定したい時間に、「Alexa、アラームをセットして」と話しかけるだけでOKです。
音量調整が自由自在
従来の目覚まし時計と比べて、音量調整が自由自在です。音量を自分の好みに合わせて調整できるため、朝に過度に刺激的な音を聞きたくない人にもおすすめです。
音声で操作できる
Amazon Echoは、音声で操作することができます。目覚まし時計のセットや、アラームの停止も、声で操作できるため、朝起きた時に声を出さなければなりません。「無意識に手で目覚まし時計を止めてしまう」ということはよくあるのではないでしょうか?声を出す必要があるので脳が目覚めやすくなります。
Amazon echoは目覚ましとしても優秀ですし、目覚まし用途でなくても使えるので1つ持って置くととても便利ですよ。
おわりに
この記事では、不登校で昼夜逆転した子どもの状況とリスクと対策、親ができる対策とサポートや朝起こす方法について解説しました。
不登校で昼夜逆転した子どもは、学校や社会から切り離された状態で、自分の居場所や存在意義を見失っています。昼夜逆転することで、心身に深刻な影響が及びます。
また、不登校の解決や再登校の妨げになります。さらに、親子関係や家庭環境にも影響を与えます。
親としてできることは、子どもの気持ちを理解し、子どもの生活リズムを整え、子どもとコミュニケーションを取ることです。
これらのことは、昼夜逆転の改善だけでなく、親子関係の改善にもつながります。親は子どもと一緒に生活リズムを改善して再登校へ導くことができます。
親は子どもの味方であり、最大のサポート者です。子どもが昼夜逆転するのは一種の現実逃避です。将来の不安や不登校で家で過ごしていることの罪悪感から昼夜逆転してしまうんです。
子どものために「過ごしやすい快適な家庭環境」を整えることで子どもの昼夜逆転を直すことができます。
不登校で昼夜逆転した子どもを持つ親の方々へ。この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。

【自己紹介】
当ブログ運営者。不登校サポーター。私自身、高校時代に周りと馴染めず苦労し、中退してしまった経験があります。その後、高卒認定試験を受け再出発し、大学へ進学しました。そんな自分が経験したことを元に、同じように進路に悩んでいる人親御さんに役立つ情報を提供しています
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